友だちに『雑誌見たよ!』っていわれた時がいちばんうれしい

華やかなルックスに、見事なプロポーション!
女のコの欲しいものをぜ~んぶ手にして、さぞ太陽のように社交的な人生をグイグイ歩いてきただろう・・・と思いきや「それが全然なんです・・・」
というのも、実は“超”のつく人見知り!
小学校時代6年間で口をきいたのは、なんと数人の友だちのみ。担任の先生とさえ、ついにしゃべれなかったほどの“スーパー人見知り”のせいで、なかなか周りに溶け込めず、会話もままならず・・・
自分を売り込んでナンボのモデルの仕事をしてるにもかかわらず、性格は人一倍の恥ずかしがり・・・という、なんともミスマッチな“悩める美女”。
そんな彼女が今回は、キットプレス社から12月に発売した「南大阪のおいしい店3」の表紙撮影に挑戦した。
さて、どんな素顔を見せてくれたのか―
やっぱり緊張!の撮影現場
もともとは本誌編集長の“一目ボレ”から始まった。
3年前、取り引き先のお好み焼き屋の大将から「うちのバイトで可愛いコがいるねんけど」とたまたま紹介されたのが彼女だった。
読者モデルを探していた彼は、さっそく「うちのモデルになってくれへん?」と、口説き落とすことに成功。
「まるで親戚のオジサンのような気持ち。よーし、成長を温かく見守っていこう!みたいな(笑) 2年に一度出版するこの本の表紙を、いつか彼女に飾ってもらおうとその時から決めてたんです」
撮影が行われたのは、狭山のイタリアンレストラン「オステリア デラ カンティーナ」。ズラリ並んだ色鮮やかな料理を前に、彼女やっぱりの大緊張!
カメラマンの「ほんとにキレイで素敵!」と絶賛する声さえ、届いたのか届かぬのか「表紙のモデルなんて初めてで・・・すっごいアガってしまいました」
「でもとってもいい経験になった!これからはもっともっと、いろんな仕事にも挑戦したいです。 それにこんな近くに美味しいお店があるなんてビックリ!お母さんとまた食べに来たい」と最後は笑顔で、数時間の撮影を終了。
姉の応募から始まったモデルへの道
幼い時から、写真を撮ってもらうのが大好きな少女だった。
だがなにせ人としゃべれない、溶けこめない。
「幼稚園の卒園式で、紫帆ちゃんの声とうとう一回も聞けなかったねって先生にいわれたぐらい(笑)」
こんな性格を心配した姉が、当時小中学生に人気だったファッション雑誌「melon」の読者モデル募集に、こっそり彼女の写真を送る。
「一次、二次って知らん間にどんどん進んで、東京での最終オーディションにもなぜか受かってしまったんです。それからは仕事の時はひとりで、新幹線に乗って東京まで行ってました。写真を撮られるのはすごく楽しいねんけど、やっぱり知らない人とお仕事するのがシンドくて。帰りはもう疲れてヘトヘト」
当時、小中学生をターゲットにしたファッション雑誌は花盛り。
「melon」だけでなく「ピチレモン」「Hana*chu」などいつくもの雑誌が、読者の獲得にしのぎを削っていた。そしてそこからは成海璃子、北乃きいなどタレントやモデルが多く誕生している。
そんなチャンスが目の前にありながらも、やっぱり恥ずかしがりの不器用な性格が一歩踏み出すことをためらわせる。
サーファー系のファッション雑誌「Fine(日之出出版)」の専属モデルに決まってからも「雑誌で見てたモデルさんがいっぱい!その頃はプロ意識なんてあんまり無くて、憧れてた人と一緒に仕事ができるだけで楽しかった」と、どこまでもオットリ、のんびり。
友だちに『雑誌に載ってたやん』とか『見たよ!』っていわれた時が一番ウレしいという彼女。
こういう素人っぽさがまた魅力なんだけど、やっぱりこの美しさ、泉州においとくのはもったいないなあ。いつか翼を広げて、大空に飛び立つ日が来るのを楽しみに待っていたい。
2012/12/14 取材・文/花井奈穂子 写真/ 小田原大輔