人のやらん事をやりたい、これが僕の原点
オリーブオイルにピッツァ、チーズ・・・イタリアンと言えば濃~い料理を想像しがちだけど、この店では和食党のご年輩層にも楽しんでもらえるよう、軽くて繊細なメニューが揃っている。そしてその料理をを作ってるシェフの素顔はというと、ちょっとうす味のしょう油タイプ!「人生いつも、いきあたりばったりで・・・」とテレ気味なとこが好感度バツグンなのか、ランチに通う主婦らの間で結構ファンが多いそうな。
人のやらん事をやりたい
エッ!あいつがシェフになるん!?と、友人を驚かせたくて料理の道に進んだというオモシロイ人。
「人のやらん事をやりたい、これが僕の原点なんです」
で、辻調に進んだものの「日本料理は厨房が寒いでしょ、僕寒いのはちょっと・・・」。で、フランス料理にしよとレストランに勤めるが「空気が合わんのですわ。甘えたやから、上下関係厳しいのイヤで」と、なんだかちょっと情けないエピソードを笑いながら軽~く話すとこが、これまた主婦のハートをくすぐるのか・・・。
とにかく当時は珍しかったイタリアンレストラン、神戸の「ベルゲン」で働くことになり、導かれたようにイタリア料理にのめり込む。
素材の味で勝負
住み込みでイチから修業した「ベルゲン」、そして素材を生かす大切さを知った心斎橋の「アルバ」・・・と有名店のシェフを経て、“ワイン蔵”という意味のレストラン「カンティーナ」を開店。
ソースも石釜焼きピッツァもパンもぜ~んぶ手作り、さらに旬の材料をタップリ使った季節のパスタなど「手ごろな値段なのに美味しい」と口コミで人気に。
「どれだけ素材の持ち味を、引き出せるかが勝負。見かけにとらわれない、でも食べるとサプライズを感じてもらえるような、そんな料理を作りたいんです」
そのためには「お客さんが何を求めてるのか、耳を傾けんと」と、厨房から出て会話に加わることも。さらにお客さんとのタケノコ掘りなど、おもしろイベントもいろいろと企画。「長く愛されるのはほんとに難しいこと。この狭山でず~っと店が続けられる、それが僕の夢なんですわ」
2006/04/20 取材・文/花井奈穂子 撮影/小田原大輔