踊ることは私のすべて。
私からダンスをとったら、私じゃなくなってしまう

スリルいっぱいのジェットコースターか、穏やかで安全な人生をとるか―――
間違いなくジェットコースター!なのがこの人。その情熱たるや、ハンパじゃない。8歳の時、雑誌で“白鳥の湖”の写真を見たとたん、「これや!私バレリーナになる!」。その日からダンス一筋。こうと決めたらソク飛び込んでいく、エネルギッシュな人生は、ちょっとドラマのよう・・・。
バレリーナのはずが・・・
小、中学時代は「西野バレエ団」で、ひたすらレッスンに明け暮れた。そこには、あの金井克子も。「トウシューズを買うお金もなくて」始めたアルバイト先で、たまたま出会ったのが、アメリカ人のビリーとイギリス人のニックというミュージシャン。意気投合した彼女は、彼らと共に、さっそく上京してしまう。バレリーナになるはずが、なぜかナイトクラブでショーを始めることに。「踊れればそれだけで楽しい」とクラシックにこだわらないのもまたこの人のアツイ好奇心。タップもモダンダンスも、ジャズも日本舞踊も、なんとよさこいまで踊ってしまうというからビックリ。その頃、ダンスを一緒に習ってたのが、木の実ナナに松島トモ子と聞いてこちらも驚き。
議員夫人のはずが・・・
3人で世界中を回ってショーを開くうち、今度はなんとパキスタンの国会議員と恋に落ち、結婚。右も左も、言葉さえわからない世界に飛び込んだ。「でも、夫の後ろにいるだけの人生は面白くなかった・・・」。
「踊ることは私の命。私のすべて」情熱をおさえられなくなった彼女は、華やかな暮らしを、いとも簡単に振り捨てて日本に戻ってしまう。以来、国をまたいで行ったり来たりの結婚生活。「主人には悪かったけど、私からダンスをとったら、私じゃなくなってしまうの」。ちなみに娘さんは、お父さんの後を継いで、パキスタンで国会議員をしてるんだとか。
今では200人もの生徒にジャズダンスを教えるかたわら、リサイタルを開いたりと多忙な日々。さらに、「胸はって外人としゃべれる子になってほしい」と、子どもらに英会話も教える多才ぶり。さあ、次はどんなリサイタルにしよ、といつもワクワク、ドキドキ。やっぱりジェットコースターが似合ってる!。
2005/08/06 取材・文/花井奈穂子 撮影/小田原大輔