人を楽しませたい!それが僕の原点なんです
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漫才コンビ「スカイブリッジ」タケ
あらたけ だいき
荒武 大樹さん [大阪府泉南郡在住]
公式サイト: https://twitter.com/skybridge_T_Y
1995年 泉南郡出身
2013年 日根野高校卒業後、辻調理師専門学校へ
2015年 高校の同級生ユウキャンと漫才コンビ「スカイブリッジ」結成
2018年 イベント司会や漫才の活動をしながら料理人としても修業中
“夢”を追う者、諦める者――人生は二つにひとつだ。
「スカイブリッジ」は今地元で人気急上昇中の同級生コンビ。
もちろん今は“原石”でしかないが、だからこそ何かをきっかけに突然輝きだすスリルとオモシロさがある。
大御所のダウンタウンだって、とんねるずだって、かつてはみんな同級生がたまたま組んだ名も知れぬコンビだった。そこから時代という魔物と息を合わせるように、伝説を作っていったのだ。
今ふたりが照準を合わすは、芸人の登竜門「M-1グランプリ」。
「本気でいきたい!」そういう彼らがここからどんな戦略で立ち向かっていくのか、どんなネタで上を狙うのか――夢を追う挑戦が今、始まる。
幼稚園の先生になりたかった高校時代
彼の家の屋上からは、晴れるときれいにスカイブリッジが見える。
「生まれて育った田尻の町が大好きなんです。田尻のイベントに呼んでもらえたことから僕らはスタートした。だからこの町の人とずっとつながっていきたいし、いずれ田尻といえば『漫才コンビのスカイブリッジや!』っていってもらえるようになりたい」
授業中にも手を挙げられないような、目立たないおとなしい子どもだった。だが中学2年の時、あるきっかけが訪れる。
「文化祭の時先生に『おまえら漫才やってみいひん?』ていわれて、クラスの3人で必死に台本考えて舞台にあがったんです。そしたら、それが意外やウケてめちゃ楽しくて。そこからですね、僕お笑いできるやんって思ったのは」
その頃別のクラスにいた、相方のユウキャンはというと「シャレで『クラスM-1』なんかをやると必ず優勝するほどオモロいやつでした」
やがて同じ高校に進むが「僕、子どもが好きなんで、ずっと幼稚園の先生になろうと思ってたんです。それがある時、いとこがゲートタワーで結婚式挙げたんですよ。で、次々すごい料理が出てくるじゃないですか。うわぁ、コース料理を作れるシェフってカッコエエなあって感激してしまって、高3の土壇場になって急に料理の道に行くって決めたんです(笑)」
その頃ユウキャンはというと、田尻町のイベントに出演したりしながら大学進学を目指していた。
ふたりの人生がお笑いをキーワードにクロスするのは、もう少し先になる。
「take‘sキッチン」が大盛況
シェフを目指して調理師専門学校に入学してみると、そこには「全国から本気のやつがいっぱい来てたんです。僕もそれに圧倒されるようにのめり込んでいったし、ほんとに楽しくて仕方ない毎日でした」
休みには高校時代にバイトで貯めた150万円を手に、様々なところを食べ歩き自分の目指す味を探し続けた。
レストランに就職が決まり、いよいよ料理人としての第一歩を踏み出した頃、コンビを解散して相方を探していたユウキャンから「一緒に組んでイベントに出ないか」という誘いが来る。
「僕は人を楽しませるのが大好き。だから僕にとっては料理を作ることも、漫才をやることも同じなんです。誰かを楽しくできる――だったら絶対やってみたいとOKしました」
とはいっても当初は年に1~2回イベントに呼ばれる程度。
「台本書くのも、ネタ合わせもふたりで朝まで部屋にこもって、必死で頑張りました。僕ら意外やマジメなんですよ(笑) 幼なじみでお互いのこともわかってるから、ケンカもしないですね」
こつこつネタを積み上げながら、さらにYouTubeでも漫才をアップしだすと「なんかオモロいコンビおるやん!」と地元で話題になり始め、徐々に仕事が増えだした。
「2年目になると1ヶ月に1回、今年は7月だけで15本の仕事をいただいて」
今はレストランの仕事とかけもちの、忙しい毎日。地元のお笑い芸人としての存在感は高まるばかりだ。
一方で「Take‘sキッチン」と題し、月に一度地元のホールを借りてレストランも開催している。
泉州野菜を使ったキーマカレーやオムライスなど、月ごとにメニューを替えて提供するのだが、とにかく「おいしい!」と大盛況。
「地元の人や子どもたちとふれあえる場所を、もっともっと作っていきたい。僕らの力で田尻を盛り上げていきたいし、ドンドン楽しいイベントを考えたいと思ってます」
漫才師の夢も追いかけながら、料理の道も諦めない…
「漫才の夢はずっと僕の中にあります。でもそれと同じようにカウンター越しにお客さんと話したり、笑わせたりできる、イタリア料理の店をいつか持ちたいっていうもう一つの夢もいつか叶えたいんです」
人を楽しませたい、喜ばせたい――それこそが彼の“夢”。
だったらそこへつながる道はいくつあってもいい。
漫才で、またシェフとしてどちらもM-1優勝を狙い続ける…そんな彼のこれからを楽しみにしたい。
2018/6/30 取材・文/花井奈穂子 写真/ 小田原大輔