私的・すてき人

泉州の可能性を発信したい

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株式会社泉州ドットコム代表

たちばな こういち

立花 孔一さん [大阪府和泉市在住]

公式サイト: http://www.sen-shu.com/

プロフィール

1972年 和泉市出身
1990年 鳳高校を経て専門学校「ESPミュージカルアカデミー」卒業
2000年 泉州情報サイト「泉州ドットコム」を立ち上げる
Macユーザーグループ「Macunion」代表、「堺すずめ踊り連盟」会長

「泉州が好きやネン!」誰がなんといおうと!という心意気。泉州人ってアツイ、アツイ!
走るも見るも地域が一丸となって燃えるだんじり、美味しい水ナス、そして世界への玄関「関西空港」…。こんなオモロイ話題が揃いぶみしてるにもかかわらず、なぜか泉州のイメージはいまいち芳しくない。
アカぬけない、ちょっと恐い、不景気、そんなんいわれるの悔しいやん。だったら「泉州の応援サイトを作ろやないか」と思い立ったのが8年前。
「地元のために何かしたい」彼の想いはゆっくり、だが確実に根づきつつある。

ITとの出会い

彼のキーワードは地元、そしてだんじり。
生まれも育ちも和泉、一年をだんじりのために賭ける、そう、根っからの泉州人だ。
中高時代はバンドに燃え、ギターを担当。高校を卒業すると「ミュージシャンにはなれないから」と、なんとギターを作る職人になろうと東京へ。
その専門学校へ通っていた2年間は「ずっとボウリング場でバイトしてたんです。おかげで最高スコアは279!一瞬プロになれるんちゃうかなあて思ったほど(笑)」

就職を選ぶ段階になり、大きな分岐点に。楽器の工場といえば長野や浜松しかない…。
「だんじりがあるのに、そんなとこへは行かれへん……」
さすが泉州人、祭りが人生を決めるのか!?
ともかく急な方向転換、だんじりでいえば“ヤリまわし”。地元に戻り、フリーターを経てビルメンテナンス会社に勤めることになる。
だが、そこで運命的に出会ったのが、まだ社会に浸透していなかったパソコン。インターネット普及率もまだまだ低い、いってみれば“IT前夜”の時代に受けた「こんなに面白いもんがあるんや」という驚きと発見が、今日につながっていく。

キッカケはだんじり

「PCを使って地元のために何かできへんやろか」と思い出したところへ、27歳でちょうどだんじりの“団長”役がまわってくる。地元との交渉や会議、青年団のとりまとめ…と忙しさはハンパじゃない。
「よし、もう会社は辞めよ。」と、またもやだんじりをキッカケに方向転換。あっさり退社を決めてしまう。

祭りも終わり、「これからは泉州のために情報発信がしたい…」と、独学で身につけたITの技術を生かして、翌年まだ珍しかった地元のための情報サイト「泉州ドットコム」を立ち上げた。掲げるはやっぱり「ディスカバー地元」。
グルメ、ショップ、文化等の情報から細かい時事ニュースまでを網羅、まさに「泉州を再発見しよう」というものだった。

「情報を発信すれば、それを誰かが見に来てくれる。そしたらまた新しい情報の輪が広がっていく。ひとりでは出来ないこともたくさん集まれば、泉州で何かできるんじゃないかなと」
「この土地の良さは、だんじりという伝統を受け継いでいく力、そしてパワー。けれど一方で若者が新しいことにチャレンジしない、人の移動が少ない。地元にクリエイティブなものが育ちにくいという欠点も。だから皆がもっともっとITを使って新しいものを生み出したり、情報交換に役立てたりしてほしいんです」とパソコンの普及・サポート事業も手がける。

一方で、HPを通して堺の面白さを発信していこうという市民活動グループ「堺なんや衆」や「泉州人」、「堺すずめ踊り連盟」などにも参加。泉州の活性化に力を注ぐ。「ITなんてしょせん道具です。せっかく便利な道具があるんやから、これを目いっぱい使って泉州の良さを皆でアピールしていけたらいいなと思ってます」

2008/05/27 取材・文/花井奈穂子 撮影/小田原大輔